古道川ダムより上流の高瀬川はこぎれいで、毛バリを振れば気持ちのよさそうな渓相だが、ダム下はぼろぼろ。
それなりの水量はあるのに、無惨なことだ。
西登山口から自転車を乗り出したが、下りなので、南登山口まではすぐだった。
長距離運転でこわばった体をほぐして、斜面にとりついた。
はなからかなりの急登だが、アセビの下生えに、雑木とモミの樹林帯は、快感だ。
「あと40分」という道標を見るあたりは、直径1メートルを超える巨モミが何本もあって、たいへんみごと。
ここのすばらしいのは、巨木だけでなく、モミの若木もたくさんあって、世代交代が着実に行われているのが、一目瞭然なところだ。
巨モミをなでたり、記念写真を撮ったりしながら行った。
「あと20分」あたりまで来ると、今度は雑木の原生林。クヌギ、クリ、コナラ、ブナ、イヌブナ、モミなどがそろっていて、美しい。
切り株が一つもないので、このあたりはここ100年内外は、伐られていないはずだ。
尾根の上からは、どこにでもある、ふつうの植林帯。
ひと登りで、神社のあるピークに着いた。
神社のわきの露岩をよじ登ると、西側に展望が広がる。
知った山は、鎌倉岳、五十人山、日山。
たしか、鎌倉岳からは、手倉山が見えていたはずだ。
これぞ阿武隈の展望。
阿武隈はいいなぁ、と思える景色だった。
ここに首都機能など、持ってきてほしくない。
下で宴会パーティがにぎやかなので、岩からおりて、少し北にある三角点に向かう。
こちらは、雑木林の中の、小さな切り開き。
いかにも低山らしい、味わいのあるピークだった。
ここで小休止。
下山は、神社のピークから西へ。
登山道で宴会をしているパーティをよけるために、斜面を少し下り、道に戻った。
こちらの尾根も、急な道だが、モミは少なく、アカマツが多い。
なかには、とても印象的なマツの巨木も数本。
手倉山では、いい木に出会えて、ほんとによかった。
途中に、山林繁栄を祈願する木札の入った小さな石祠。
いい木だけでなく、いい心映えにも出会えて、とてもうれしい。
鳥居の立つ、西登山口までは、すぐだった。